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2009/4/7

第2回:フィールド活動(ラウンダー活動)方法の変化について

第2回:フィールド活動(ラウンダー活動)方法の変化について

前回は、日本の歴史の流れに合わせて流通構造の変化について見ていきました。そこで今回は、その時代の変化とともにいかにフィールド活動(ラウンダー活動)が変化し、また「いかに変革するべきか」ということに関して見ていきます。

従来の活動スタイル=属人的フィールド活動(ラウンダー活動)

従来から消費財メーカーは、消費者と接点のある小売店頭の売場構築に力を入れてきました。

組織的な小売流通が台頭する以前は、小売店舗もまだまだ対面式の推奨販売型が主流でしたので、ここでの店舗巡回の目的は、それぞれの小売店舗の実権者と人間関係を構築することでした。その方法というのは、世間話の中で相手の近況を聞きながら、合間に用件を伝え新たな注文を頂くといった「信頼関係づくり」をベースにした属人的色合いの強いものと言えます。そして、現在に至るまで長くこの営業スタイルが、成熟しながら発展してきました。

この営業スタイルの特徴としては、メーカーの担当者が広いエリアを“面”で担当するところです。これを“属人的フィールド活動(ラウンダー活動)”といい、一人の担当者が広範囲の多くの企業を担当し、ほとんどの店頭活動を担うというものです。そのため、「多くの情報を処理して活動できる」ことが求められ、スタッフは専門的な知識・スキルを長期間かけて習熟していく必要があり、経験者ほどいろいろな活動シーンで応用が利き、熟練者ほど重宝されてきました。

その後、1980年代〜1990年代頃になると、小売店頭がセルフ購買型に変化したものの、このような活動スタイル自体は変わることなく、このタイプが現在もフィールド活動(ラウンダー活動)の主流となっています。

しかしながら、7〜8年前から、このような“属人的フィールド活動(ラウンダー活動)”に頼っている活動スタイルでは、現在のような組織的な小売流通では効率的に効果を出すことが出来ないと認識され始めました。そして、ここ1〜2年の急激な市場変化が、否応なく従来の活動スタイル(=“属人的フィールド活動(ラウンダー活動)”)の見直しを迫り、各業界の主要企業が新たな活動スタイルへの変革を試み始めました。

店頭の変化と新しい活動スタイル

現在の組織的な小売流通店頭では、定番商品・新商品・販促企画を並行してタイムリーかつ効果的に展開することが求められています。

つまり、ここで重要視される活動は、重点商品やチェーン企画に特化した活動を持続的に行うことです。そのためには、一人当たりの活動エリアを狭くし、担当店舗数も減らさなければ対応し続けることはできません。

しかしながら、従来の“属人的フィールド活動(ラウンダー活動)”に依存してきた企業では、急に人数だけを増やしても、対応できるだけの根本的な仕組みやノウハウが構築できていないため、一番山場のタイミングで効率的に効果の上がる店頭活動が行えず、チャンスロスを起こしてしまいます。

そこで、こういった属人的フィールド活動(ラウンダー活動)から脱却するため、近年新たなフィールド活動(ラウンダー活動)スタイルを取り入れる企業が増えています。それは、上記の状況に対応するために、活動目的・活動期間を明確にし、その期間はその目的だけに特化した活動を組織的に集中して行うというものです。 企業のなかには緊急対応的な位置付けで自社社員を総動員して店頭構築を行っているケースも見受けられますが、この方法では持続的に対応することはできません。

そこで持続的に店頭活動を活動目的に特化して行えるようにするためには、店頭活動を人件費と捉えて固定費化するのではなく、商品や企画に連動した店頭活動を具体的なメニューにすることで販促経費と捉え、費用対効果がより具体的に検証できる“アウトソーシング”を活用し、変動費化するという発想の転換が必要です。

そして、段階的であれ実際に着手している企業が多く見受けられるようになりました。 近年、フィールド業務アウトソーシングの業界は大きく変貌を遂げようとしています。これまでもフィールド活動(ラウンダー活動)を業務委託するアウトソーシングは多く見られたのですが、“業務請負”といいながらも、人を手配するだけの人材供給的イメージが色濃かったことは否めませんでした。

しかし、ここ4〜5年で、フィールド活動(ラウンダー活動)をフルサービスで行える専門企業が勃興し、システム・ノウハウ・スタッフ数・カバーエリア等において、メーカーを上回るサービスを可能とする企業が出てきています。 現在のトレンドとしては、自前主義が鳴りをひそめ、アウトソーシング化により外部を上手く活用するパートナーシップが主流になろうとしています。

組織的小売流通も効率的に効果を出すためには、今後ますますフィールド活動(ラウンダー活動)の多様化と短期集中化をメーカーサイドに求めていくことは必然の流れだと思います。そのような厳しい環境を生き抜くためには、自社のフィールド活動(ラウンダー活動)を環境に合わせて見直すことで、変化の波を上手に乗り切っていくしかないのです。

フィールド活動(ラウンダー活動)方法の変化

木名瀬 博のフィールド虎の巻

序章

第1章 消費者接点として重要性を増す店頭のあり方とこれからのフィールド活動(ラウンダー活動)

第2章 本部商談結果と店頭をどのように連携・連動させるか

第3章 フィールド活動(ラウンダー活動)によって得られる情報の活用方法

第4章 フィールド活動(ラウンダー活動)をさらに強化するために見直すべきポイント

第5章 フィールド活動(ラウンダー活動)の分類と役割

第6章 店頭で競合他社より優位に立つためのフィールド活動(ラウンダー活動)体系の見直し方

第7章 営業担当者とフィールド業務をつなぐ2つのPDCAサイクル

第8章 事例で解説、フィールド活動(ラウンダー活動)のポイントと成果

第9章 フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態

第10章 フィールドスタッフのスキルとモチベーション

終章 フィールド活動の今後の方向性