第44回:フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態(7) | 株式会社mitoriz | つながりが、人に潤いをもたらす未来へ。
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2012/6/20

第44回:フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態(7)

今回も、フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態の特徴について具体的に説明していきたいと思います。

しばらく休載していました、申し訳ありません。

休載の間、フィールドマーケティングという考え方が消費財メーカーに広く認知されるようになり、多くの企業が小売店頭における消費者接点に注目し始めたことは、この業界に関わる身としては大変喜ばしいことだと思っています。私も日々、多くの関係者の皆様と情報交換を行いながら、市場の変化を肌で感じてきました。 会話の中にも「ビッグデータ」「ショッパーズインサイト」等、消費者データの活用に関する用語が、当たり前のように使われるようになっています。但し、これらの概念が情報インフラとして具現化されるには、あと1〜2年はかかるのではないでしょうか?

さて、本題に入りますが、今回も、フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態の特徴について具体的に説明していきたいと思います。

前回は「業務請負活用型(時間単位契約)」にてフィールド活動(ラウンダー活動)体制をとっている場合の特徴を解説しましたが、今回は「業務請負活用型(業務単位契約)」にてフィールド活動(ラウンダー活動)体制をとっている場合の特徴を解説してまいります。

  • フィールド活動(ラウンダー活動)の契約形態の流れは、時代とともに少しずつ変化してきています。大きな枠組みで従来の業務請負(時間契約)業者の中には、業務を遂行する能力を持たず偽装請負を行っていた企業が多かったが、近年サードパーティマーチャンダイザー(3PMD)という業務単位でのフィールド業務請負企業が出てきました。 ・最大のメリットは、請負契約を業務単位で行っており、活動成果を数値化できるため、活動結果報告が納品物となり、コンプライアンス面でのグレーゾーンを払拭できる点にあります。
  • また、契約社員やパート社員および派遣社員の活用においては、雇用契約となり3年以上の継続契約は、正社員として雇用する必要が出てきます。正社員化による、固定費アップを望まない企業は、経験を積み重ねた優秀な社員を手放すという大きな戦力ダウンを強いられることになります。
  • 更に、今後「パート社員の厚生年金加入問題」や「障害者雇用促進法の改正」など、企業を取り巻く環境は変化していくことになります。
  • 業務請負契約においては、契約期間は委託先・委託元双方で決定するものであり、法的に契約期間を制限することはできません。
  • 一方、最大のデメリットは、直接業務指示が出来なくなることです。直接的指示に慣れている企業が、間接的業務指示に移行するには、社内における意識改革が必要であり、現場の営業担当者全員が上手く活用できるようになるまでに、最低でも半年〜1年はかかると思います。この期間に、現場の不安や不満を収束できず、上手く導入できなかった企業も少なくありません。
  • また、業務請負企業とフィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)間の契約が、業務委託契約(個人事業主)なのか契約社員なのかによって、契約期間に制限が出てきます。前者であれば契約期間の問題はありませんが、後者の場合は、業務請負企業が3年以上継続契約している場合、フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)に対し正社員として雇用する必要が出てくるため、固定費化を望まない場合は、優秀なフィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)との契約更新を諦めざるをえなくなります。
  • フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)との業務請負契約(個人事業主)を行っている業務請負企業は、現在でも非常に少ない状況です。その理由は、大きく2つあり、まず1つ目は、運営の難しさにあります。まず、クライアント企業から依頼された業務内容を明確に定義化し、妥当性のある活動単価を設定し、具体的な店舗リストを持って契約し、依頼された活動を確実に行うための教育や指示徹底を行い、具体的かつ正確な活動を行い、その活動結果として店頭情報を収集し、数値化し集計分析した資料を納品物とし、クライアントにその内容を報告することを求められるからです。
  • 上記のプロセスをフィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)個々人とも行うため、この業界に精通したノウハウやスキルを持った社員が必要になることと、その組織を支えるシステムインフラを構築していることが必須となります。
  • もう一つ理由は、フィールドマーケティングの理論に基づいた活動設計をしなければいけないということです。フィールド活動(ラウンダー活動)の導入目的として、最終的には業績アップが求められますが、そこに至るプロセスをフィールド活動(ラウンダー活動)の中で具体的に設計できなければなりません。そして、設計した活動を高い確率で遂行し、その結果を検証し、問題点や課題を明確化し、その改善点を踏まえ、再度活動設計するというPDCAサイクルを業務運営の軸として確立していなければなりません。
  • この2つの条件が揃わないまま運営すれば、しばらくは続いたとしても、クライアント企業の業績アップに繋がらず、最終的に継続した契約に至りません。
  • 一方で、委託先と委託元の双方がパートナーとして上記のPDCAサイクルを確立できれば、フィールド活動(ラウンダー活動)が必要なエリア・チェーン・店舗を選定し、活動内容も明確に依頼する仕組みができるため、通常のフィールド活動(ラウンダー活動)だけでなく、商品展開やプロモーションに合わせた短期集中型フィールド活動(ラウンダー活動)や店頭展開状況調査などフィールドマーケティングのあらゆるニーズに非常に有効に活用することができます。
  • 契約の基本が、活動単価のため、移動時間や交通費・借上車両費等の人に掛かる費用は別途発生することがないため、活動の費用対効果が明確になります。
  • 中長期フィールド活動(ラウンダー活動)の場合、フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)は、契約期間内は、同一人物が同一店舗をフォローすることが多く、従来のフィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)と全く遜色ない店舗との信頼関係構築が可能となります。
  • また、短期フィールド活動(ラウンダー活動)においては、販促企画の店舗フォロー、店頭構築、店頭調査等の業務内容にあった即戦力のスタッフで対応できるため、費用対効果の高い活動が可能になります。
  • 上記の特徴を活かし、効率性・機能性の高いサービスを受けるには、委託先となる消費財メーカーは、「本部営業担当の本部商談内容(商品・販促別)の指示伝達の徹底」「フィールド業務内容の明確化」「効果測定するための仮説の立案」「営業担当とフィールド担当の役割分担の明確化」が必要になり、従来型の場当たり的な直接指示対応では活用できないことを十分認識する必要があります。
  • 今後、このような新たな契約形態でのフィールド活動(ラウンダー活動)の手法を組込んだ企業とそうでない企業では、フィールドマーケティング力に大きな差が生じてくるものと思われます。また、コンプライアンス順守や法改正の流れの中、現在の契約形態の課題や問題点を早急に見直すことが、社会との信頼関係上避けられなくなってくるでしょう。

次回は、いよいよ「フィールド虎の巻」最後のテーマとなる「フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)のスキルとモチベーションをどのように上げるのか?」について説明したいと思います。

木名瀬 博のフィールド虎の巻

序章

第1章 消費者接点として重要性を増す店頭のあり方とこれからのフィールド活動(ラウンダー活動)

第2章 本部商談結果と店頭をどのように連携・連動させるか

第3章 フィールド活動(ラウンダー活動)によって得られる情報の活用方法

第4章 フィールド活動(ラウンダー活動)をさらに強化するために見直すべきポイント

第5章 フィールド活動(ラウンダー活動)の分類と役割

第6章 店頭で競合他社より優位に立つためのフィールド活動(ラウンダー活動)体系の見直し方

第7章 営業担当者とフィールド業務をつなぐ2つのPDCAサイクル

第8章 事例で解説、フィールド活動(ラウンダー活動)のポイントと成果

第9章 フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態

第10章 フィールドスタッフのスキルとモチベーション

終章 フィールド活動の今後の方向性