第45回:フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)のスキルとモチベーション(1) | 株式会社mitoriz | つながりが、人に潤いをもたらす未来へ。
  • TOP
  • BLOG
  • 第45回:フィールド...

BLOG

2012/9/13

第45回:フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)のスキルとモチベーション(1)

第45回:フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)のスキルとモチベーション(1)

前回は「業務請負活用型(業務単位契約)」にてフィールド活動(ラウンダー活動)体制をとっている場合の特徴を解説してきましたが、今回からは、いよいよ「フィールド虎の巻」最後のテーマとなります「フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)のスキルとモチベーションをどのように上げるのか?」について解説していきたいと思います。

フィールド活動(ラウンダー活動)を強化するためには、以下の図のように各要素をバランスよく組み合わせていくことがポイントとなります。

フィールド活動強化とは

今回は、アメリカンフットボールのチーム作りを例に取ってみます。

まずは選手選びです。
選手として肉体面や精神面で必要な素養は、「足の速さ」「体の大きさ」「肩の強さ」「フットワークの軽さ」「状況判断の的確さ」等様々であります。それは、人間の持って生まれた才能と日々の弛まぬ努力で築き上げた「個人能力」と呼べるものです。そして「個人能力」の優れている選手で作られたチームの方が強いチームを作りやすいということは、誰もが想像できると思います。

次に、チーム作りです。
アメフトではポジションにより明確に役割が違ってきます。オフェンス・ディフェンス共に、体の大きい力の強い選手がガードをし、足の速い俊敏な選手がランニングバックとしてボールをキャッチしたり、持って走ったりします。そして、状況判断の的確で肩の強い選手がクウォーターバックとしてプレーをリードします。 したがって、それぞれのポジションを誰に任せるかがとても重要になります。監督やコーチは、個々人の特徴や適性を見抜き、適所適材に配置しなければならず、その配置によりチームの力は何倍も違ってきます。

更に、アメフトは、フォーメーションという型があり、そこから繰り出されるプレーは何百パターンもあります。試合を行うためには、フォーメーションとプレーパターンをオフェンス・ディフェンス共に覚えなければならず、チームで上手く連携をとれるように、幾度となく練習を行い、体に覚えさせます。

実際の試合では、相手チームのフォーメーションから戦術を読み、その裏をかくフォーメーションをとり、自分のチームに有利に戦いを進めていかなければなりません。そのためには、練習と経験を積むしかありませんが、強いチームは、やみくもに練習や試合をするのではなく、ミーティングなどで課題や問題点を明らかにし、その解決方法を決め、練習プログラムを組み、試合で試していくことを当たり前のように繰り返しています。

また、アメフトは体と体がぶつかり合うとても激しいスポーツです。しっかりと防具を身に付け受け身の取らなければ、どんなに屈強な選手でも身が持ちません。

以上のように、アメフトは、頭と体を酷使する非常にタフなスポーツですが、このスポーツのスタイルは、私たちビジネスの営業現場でもとても役に立ちます。

ビジネスにおいても、選手=営業の場合、「個人能力」が高い方が強い組織が作れますが、営業の場合の能力とは、一般的に「人間力」といわれるものです。 「信頼感」「期待値」「継続性」「誠実さ」等の営業姿勢に加え、「判断力」「決断力」「交渉力」「リーダーシップ」等のビジネススキルを合わせたものとなります。

その「人間力」とは持って生まれた才能と経験という日々の努力により築かれるものですが、スポーツ選手のように、身体的に特徴や適性を見分けにくい点が、営業組織作りの難しい所です。優れた経営者やマネージャーは、それぞれ得意の分野における人間力を見分ける基準を身につけていると考えられます。大企業であれば、組織としての期待役割や個人としての適性判断を明文化し、データ化している企業は少なくありませんが、フィールド活動(ラウンダー活動)における期待役割や個々人の適性を明文化して把握している企業は少数であり、そこに競合他社との差別化のポイントがあると考えています。

そして、フィールド活動(ラウンダー活動)を行う上での組織作りですが、人材を適所適材に配置することはフィールド活動(ラウンダー活動)においても大変重要です。

期待役割と個人能力を上手く組み合わせ、強いチームを作るためには、チームリーダーとして相応しいのは誰か?本部交渉力が強いのは誰か?店頭構築が得意なのは誰か?それぞれの強み弱みを把握しながら特徴を活かし、組織小売流通への担当分けを行うことで、本部商談重視型・店舗商談重視型等企業タイプにより、適切な人材を配置することが出来、成果は何倍も違ってきます。

次に、販売戦略を具体的な商品展開と販売促進策にて実践するわけですが、フォーメーションと戦術が必要となります。例えば、一つの販促策を実施する場合、営業企画部門・本部担当・店舗担当がどのような役割で動くのか、販促策のタイプで営業態勢が出来るようにしておくことです。

そして、上手く連携した活動が出来るように、役割に応じた活動を一連のルールに基づいて各人がタイミングよく行うことで、チャンスロスなく店頭に商品が展開され、消費者が購買できる状況を作り出せるという訳です。組織を最大に活かすためには、多様な営業態勢と戦術を確実に行える態勢作りが不可欠ということです。

また、営業現場においても、アメフトのような身体的なものではないものの、お互い激しくぶつかり合うシビアな交渉が日々行われます。何の情報も持たずに「お願い営業」を続けていても成果が出ないばかりか、心身ともに疲弊してしまいます。常にリアルで正確な情報でプロテクトさせ商談に臨ませることが必要です。

そのためには、組織的に情報収集・活用のルールを決め、定期的に情報を活用できる仕組みとその情報を状況に応じて臨機応変に使いこなせるよう、教育によりスキルを身につけさせなければなりません。情報の重要性は優秀な営業であれば既に十分に理解していますが、普段から情報武装していない営業は、大怪我をしてからでないと気が付かないものです。

多品種多店舗展開をしている組織小売流通にとって、人口減少と少子高齢化を迎える今、他社との差別化が必要となってきます。そのために、これまで以上に消費財メーカーに店頭情報や店頭提案を求めてくるようになります。これからは、強い営業の育成のみならず強い営業体制を構築するために、戦略を実践できる態勢と戦術作りが必要不可欠となっていくと思います。

次回より、上記内容を具体的に説明していきます。まずは「育成体系の構築」について解説いたします。

木名瀬 博のフィールド虎の巻

序章

第1章 消費者接点として重要性を増す店頭のあり方とこれからのフィールド活動(ラウンダー活動)

第2章 本部商談結果と店頭をどのように連携・連動させるか

第3章 フィールド活動(ラウンダー活動)によって得られる情報の活用方法

第4章 フィールド活動(ラウンダー活動)をさらに強化するために見直すべきポイント

第5章 フィールド活動(ラウンダー活動)の分類と役割

第6章 店頭で競合他社より優位に立つためのフィールド活動(ラウンダー活動)体系の見直し方

第7章 営業担当者とフィールド業務をつなぐ2つのPDCAサイクル

第8章 事例で解説、フィールド活動(ラウンダー活動)のポイントと成果

第9章 フィールドスタッフ(ラウンダースタッフ)の契約形態

第10章 フィールドスタッフのスキルとモチベーション

終章 フィールド活動の今後の方向性